

8月10日、大学に通うのも4日目となり、この日から学生は自由登下校となりました。それに伴い、学生はレッスンや練習の合い間、食事やショッピングに街中へ出かけるようになったのですが、慣れない外国生活、英語もほとんど通じない国ではいろいろと戸惑っているようです。
8月11日、午前10時から午後1時にかけて、アリチア・クルベックさんの案内で、大学から徒歩で行くことのできるショパンゆかりの地を散策しました。
コースは、ショパン一家がワルシャワで住んでいたアパート(現在はワルシャワ大学日本学科の棟になっています)や、ショパン一家のサロンを再現した部屋、ショパンが15~16歳の時、ミサでオルガンを演奏していたヴィジツキ教会、そしてショパンの心臓が安置されている柱がある聖十字架教会などでした。最後にショパンも飲んでいたチョコレートをワルシャワの老舗<ヴェデル>で頂きながら、参加者一同、何かしらショパンの生活の一端を感じた気分になりました。
[ショパン一家の住んでいたアパートの下で]
8月12日は、午後3時から私たちのために、ヴェンツォフスキ博士(音楽学)の特別講座が開かれました。
テーマは『ショパンの作品に隠された宗教性』、ワルシャワ在住のピアニスト平澤真希さんの見事な通訳(ほとんど同時通訳)によって行なわれました。講座の概要は以下のとおりです。
ロ短調のスケルツォのトリオの部分にコレンダ(ポーランドのクリスマスキャロル)が用いられていることは一般によく知られていますが、ヴェンツォフスキ博士は、ショパンのその他の数多くの作品に、ショパンが若い頃に教会や家庭で歌われていた宗教歌の主題がそのままの形であったり変形されたりしながら隠されていることを示しました。
例えば、葬送行進曲のトリオの部分にはポーランドのサルヴェ・レジーナ、エチュード作品25-11「こがらし」にはクルピンスキの宗教歌曲、エチュード作品25-7にはコレンダが隠されていることが明らかにされたのです。その他にもエチュード作品10-8や作品24-4、ボレロやラルゴなどについても、用いられたポーランドの宗教歌を紹介しながら、その主題の変形の仕方などについて解説されました。そして圧巻は、エチュード作品10-4に潜んでいる宗教歌が17世紀のビザンチン聖歌であるという博士の発見でした。
[ヴェンツォフスキ博士の特別講座]
最後に博士は、ショパンが何を思いながら作品を書いたのか、演奏家がそれを考えるのも必要なことではないでしょうかと講座を締めくくりました。参加学生も、自ずとショパンと彼の愛するポーランドや神や家族について考えさせられたようです。
(講習引率教員)