私が担当しているゼミでは、臨床心理学、発達臨床心理学、発達心理学のいろいろなテーマについて、参加者の興味・関心に沿って、個人研究と共同研究を行っています。特に共同研究では、協働活動を通して研究の質を高めるだけでなく、自分を見つめ、ゼミ仲間を見つめ、自己受容、他者理解といった対人関係のスキルを培うことも大切にしています。 これまで取り上げられたテーマの一例を示すと、「乳幼児期における愛着行動について-抱っこの視点から-」、「心の理論についての研究」「学校における心理臨床に関する研究-不登校カウンセリングを通して-」、「音楽とリズム・対人関係について-発達障害児と高齢者を対象として-」、「認知行動療法とソーシャルスキルに関する一考察-青年の対人不安を中心に-」、「子どもの居場所についての一考察」、「自閉症スペクトラムの理解と支援について」などです。 たとえば、乳幼児期に「抱っこ」されることが子どもの「こころ」の発達にとってどれたけ重要か、今日の教育現場ではどのような「こころ」の問題があり、カウンセラーとしてそれにどう対処するべきか、音楽によって人間の「こころ」はなぜ、どのようにして癒されるのか、人とうまくかかわる力を養うための方法としてどのようなものがあるか、相手が何を考え、何を望んであるか、相手のこころが理解できる「こころの理論」は、いつ頃から獲得できるのか・・・など。ゼミ参加者は、このようなテーマについて文献を読み、保育所や高齢者の施設などで実践活動を行い、データを収集した上で、研究の成果、実践の成果を卒業研究としてまとめ上げます。
現在、ゼミのメンバーが特に関心を持っているテーマは、音楽やリズムと人間の「こころ」について。音楽を聴いていると、何となく気が晴れる、心地よい気分になる、あるいは、スポーツを観戦しているときに、みんなでリズムを合わせて選手のコールをすると妙な一体感が感じられるということは、誰もが体験しているはずです。なぜ音楽を聴いていると気が晴れるのか、心地よい気分になるのか。なぜリズムを合わせることで一体感を感じるのか。この研究課題は、音、リズムを背景にして生まれてくる感覚、身体運動から発展していく人間関係をリズムとの関係において検討することです。そのメカニズムを学問的に、つまり心理学的に明らかにするということです。そして、それをベースにして、音楽を使って「こころ」の問題を抱える人たちをサポートするという実践的な課題にも取り組む予定です。