相愛大学 レポートVol.1

高齢者の誤嚥(ごえん)事故の課題に取り組む

しばしばニュースで目にする高齢者の誤嚥(ごえん:食べたものを飲みこむ際、食道ではなく気管や肺に流れてしまうこと)事故、実は高齢者の不慮の事故の中で最も死亡者数が多く、歳を取ればとるほどそのリスクは高まります。

そんな以前から問題視されている高齢者の誤嚥に対する問題解決策として、大阪市住之江区に本部を置く相愛大学では、民間企業と連携し大きな成果をあげています。

ゼラチン製造トップシェア企業とのコラボレーション

発信される学生考案のメニューは学内の発信だけでなく、ニッタバイオラボのホームページでも公開され、全国から多くのアクセスを集めている。


今回ご紹介するのは、人間発達学部 発達栄養学科(以下、発達栄養学科)の取り組みです。

発達栄養学科は、ゼラチンやコラーゲン原料の製造国内トップシェア(※)を誇る東証一部上場の新田ゼラチン株式会社の子会社で、一般消費者向けの小売販売を行っている『株式会社ニッタバイオラボ(以下、ニッタバイオラボ)』と連携し、「ゼラチン」や「アガー」を使った健康レシピを、毎月2品のペースでリリースしています。

※新田ゼラチン株式会社 公式ホームページより

写真左:ニッタバイオラボ株式会社 代表取締役 小田義高様
写真右:相愛大学 人間発達学部 発達栄養学科 杉山文先生


ニッタバイオラボ代表取締役の小田義高社長にうかがうと、「ゼラチンやアガーというと、一般的には液体を固めるためだけに使用するものと思われがちですが、それだけに留まらず、実はタンパク質やコラーゲンなどの栄養補給や、食材にとろみをつけることで誤嚥を防ぐ方法として以前から利用されてきました。しかし消費者にはまだ多くの情報発信が出来ておらず、長年悩んでおりました。

 

そんな中、弊社でゼラチン・アガーを使ったレシピを考案して頂いている相愛大学准教授の杉山文先生から、学内の先生方がゼラチン・アガーを使った高齢者への食支援に取り組まれていることをお聞きし、是非とも協働したいと申し入れました」と、今回連携することになったいきさつをお話し頂きました。

学生の斬新なアイデアと情熱で、高齢者にもやさしい健康レシピを創出

『レシピ創造プロジェクト』と銘打ち、「からだにやさしい健康な食事」をテーマに、管理栄養士を目指す学生たちと、ニッタバイオラボとの連携が2016年6月からスタートしました。

そもそもなぜゼラチンやアガーが嚥下障害対策に良いのかというと、しばしばニュースで高齢者の誤嚥(食べたものを飲みこむ際、食道ではなく気管や肺に流れてしまうこと)事故を耳にしますが、これは老化による筋力や噛む力の低下で、食べたものを食道に流し込む動作が上手くいかないことが原因です。

そこで食材にとろみをつけることで、食道に流し込みやすくなり、誤嚥を防ぐことが出来るのです。

相愛大学では食のプロフェッショナルが集結し、高齢化社会の食の課題に取り組んでいる。


今回のプロジェクトのサポートと学生の指導にあたっている、発達栄養学科准教授の杉山文先生にもお話しをうかがうと、「レシピ開発するにあたって、美味しくて見た目が良いのはもちろんのこと、栄養のバランスも良く高齢者でも食べやすいこと、そしてどこにでもある食材を使って家庭でも簡単に作れることを重要視しました。

嚥下障害に関する授業は私の他にも、高齢者の栄養支援のエキスパートである竹山育子准教授や、歯科医師でもあり摂食・嚥下に関する専門家である品川英朗教授なども積極的に行っております。

ゼラチン・アガーが誤嚥対策に効果的と以前から伝えてきましたが、今まで学んだ知識を実践するのは学生にとって初めての試みでした。

なぜそのレシピなのか、とにかくレシピを作る前段階のテーマを決めるまでに多くの時間を使いました。

一般の方々に向けて『からだにやさしい』を謳って発表するものですので、自分の考えをしっかり持ちレシピ開発をしなければ、とても企業様の了解を得られるものはできません。

少しでも引っかかる部分があれば何度でもやり直しさせました。それだけ厳しくチェックすることで、出来たレシピは企業様にも満足頂けましたし、私も自信を持って紹介することが出来ました。

学生も自分で考えることで、嚥下食について深く理解することが出来、それを発信するプレゼン力も飛躍的に高まったと思います。

これは学生にとってとても大きなことで、授業や座学だけでは得られない、将来企業に就職してからも必ず役に立つとても貴重な体験だと思います」と、取り組みを行った感想を振り返られました。

学生が考案したメニューの数々。厳しいプレゼンを乗り越えた健康メニューを、毎月心待ちにしているファンも多い。


実際に学生たちが考案したレシピを拝見すると、色鮮やかな花畑をイメージした鍋や、食べやすくレバーで鉄分をプラスした栄養満点なハンバーグ、一見するとビールですが中身は身体を想いやるビタミン満載のフルーツゼリーなど、既成概念にとらわれないユニークなレシピがズラリ。

小田社長も「私たちでは思いつかない斬新なレシピばかりで、毎回とても驚いています。

そして、このレシピを一般の方に広く知ってもらうことはもちろん、将来管理栄養士や食育に関する仕事を目指す学生のみなさんに、ゼラチン・アガーの事を知っていただき使っていただくことで、高齢者の誤嚥予防食に関する啓蒙活動の後押しになれば嬉しいですね」と、大学と連携したこの取り組みのメリットを評価しています。

地域社会に必要とされるプロジェクトに成長

また、プロジェクトの延長として、相愛大学の近隣にある高齢者施設などでゼラチン・アガーを使った食のイベントを実施するようになりました。

「この取り組みを知った施設様からの問い合わせが増えたこともあり、この取り組みを学内だけでなく外に向けて広く発信するようになりました。

学生が高齢者と一緒に楽しく料理しながら食育や嚥下食についての情報を伝えることで、地域社会に貢献するとともに、人に伝えることの難しさや大切さを学んでいます」と杉山先生。

開催したイベントはどれも大反響で、今後も定期的にイベントを実施していく他、LINEなどSNSも絡めて誤嚥に関する課題や高齢者の食に関する啓蒙活動をしていきたいと、今後さらなる取り組みの広がりにとても意欲的です。

医療の発達に伴いますます重要視されるようになってきた『クオリティオブライフ』。健やかな生活には『食』は絶対に欠かすことが出来ません。相愛大学では直接地域と関わり合いながら、安全で健やかな生活のための啓蒙活動を実践し続けます。


相愛大学


大阪府大阪市住之江区南港中4-4-1
代表番号 06-6612-5905

人間発達学部発達栄養学科

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